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アンデルセン生誕200年

1月8日 (土) 8℃

 新聞のコラムに メーテルリンクの「青い鳥」は、原作は「非常に暗くて、不幸な絶望的なエンディング」となっている。チルチルとミチルは青い鳥を見つけることができなかったが、自分たちの部屋の鳥かごに青い鳥を見つけた。幸福は身近にあることに気づき、ハッピーエンドで終わっている本が多い。しかし原作は、青い鳥はかごから出されると飛んで行ってしまい、舞台のドラマは「あの鳥を見つけたら、僕たちに返してください。幸せになるためには、あの鳥が必要なんです」と話すシーンで終わる。これは、人間には希望や幸福がなくては生きていけないがそれは自分でつくるものと考えられる。

 アンデルセンは死ぬまでに164編の童話を書いています。
これまでの昔話や童話は、魔法使いや妖精や王様やお姫さまが出てきて、普通の人間の生活とはかけ離れた、華やかで不思議な世界を描いています。アンデルセン童話は日常の見過ごしてしまうような出来事の中にドラマを発見し、命を吹き込んでお話にしているのです。
アンデルセン童話は動物や植物や無生物などが語る場面が多くあります。文学用語では想像力は「相手の身になって考えること」とされ、アンデルセンは感情移入して相手になりきることができ、動物・植物・無生物にも人間と同様に心があると考え、想像力が豊かであったといえます。「ヒナギク」「ソバ」「ビンの首」などはそうです。
 アンデルセンは、童話を単なる子どもの読み物と考えていなかった。自分が人生で経験した悩みや喜び、貧乏の悲しみや恋の悩み、死の問題、人生への懐疑や信仰までもお話の中に投げ込んで書いています。子ども向けの童話の中に人生の深い真実がこめられているのです。人間を巡るありとあらゆることに触れ、人間の本質的な問題を誇張して、象徴的に、面白く、自由で大胆に描いています。アンデルセン童話は、頑張っても最後には不幸になったり、死んだりする作品が多いので、好きになれないという人が多いそうです。彼の童話の本質はハッピーエンドを目指す物でなく、人生の真実や人間の心の真実を描くということです。人間の心の無意識の世界では、子どもも大人も同じように別離や失敗や競争や葛藤に伴う苦悩や孤独の体験を積み重ねています。だから、子どもの心の中にも、憧れや夢だけでなく、憎悪・怒り・虚栄心・死への恐怖・殺人衝動・自殺願望などの情念が渦巻くこともあります。こうした不満や恐れや願望は、現実では理性によって押さえられ、深層心理の中へ抑圧されていますが、私たちは夢で見ることで心のバランスをとっているのです。夢で見ることを作品化したのが童話と考えられます。
 子どもたちは読んで楽しい童話を読めば素直に笑い、元気ややる気をもらって自分の人生を楽しく夢のあるものにしていこうと思うでしょう。戦いや死、憎悪、虚栄心、嫉妬、殺人衝動、自殺願望、不幸な運命などの作品を読めば、自分にも生じるそうした情念を作品に投影して、より深い体験をして、自分の心をはぐくむことができます。

 2005年はアンデルセン生誕200年にあたるので、インターネット上で「アンデルセンプロジェクト」に取り組んでいる。私もアンデルセン童話を読んでいるが、 描かれている人間の真実の心に驚く。私が子どもの頃に読んだものは、「マッチ売りの少女」「親指姫」「皇帝の新しい服」「みにくいあひるの子」しか記憶にない。これらはほんの一部でしかない。
 保健室にも、アンデルセン童話の文庫本をおいてみよう。生徒が手にとって読まなくても、表紙のタイトルを見るだけでも良しと思いたい。
by juneyo | 2005-01-08 18:05 | 情報


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